相続放棄すべきかどうかの判断


(例)

@ 相続財産(土地・建物・設備の相続評価額) 1億円
A 相続財産の時価 1.5億円
B 負債総額 2億円
C 妻が2億円の連帯保証人、妻自身の財産は時価で1000万円
D 負債の利子 年2%
E 被相続人の保険金

1。相続放棄の検討

@純額相続財産は、マイナス5000万円であり、相続税はかからないが、相続放棄をすべきかどうか検討しなければならない。
(イ)負債の返済10年で返済しても、年2000万円、金利は初年度で400万円、次年度以降は若干減少するにしても、大幅な減はない。
(ロ)会社から2400万円以上の給与・家賃が見込めるか。
(ハ)相続放棄すれば、妻も連帯保証人であることから、妻も自分の財産に対して求償権が及ぶ。
(二)相続放棄は、第1順位である相続人の妻、子2人、だけでなく、普通は、被相続人の両親が死亡していることが多いため、被相続人の兄弟(第3順位相続人)も相続放棄しなければならない。
(ホ)妻、子2人、従業員に会社を経営していく能力があるか。または、この会社が収益力から見て、収益力価格が5000万円以上で売却出来るか。

2.結論

@保険金がないので、子と妻に年2400万円の返済能力があれば、相続する。子と妻に負債の返済能力がなく、会社関係者に会社を経営する能力がなければ、相続放棄せざるをえない。
A10年保障定期保険2億円に入るとすると、掛け金は、50歳加入で月額12万円、60歳加入で月額20万円、70歳加入で月額66万円であり、この程度であれば加入可能であるか判断が必要です
B10年保障定期保険1億円に入っていれば、掛け金は、50歳で月額6万円、60歳で月額10万円、70歳で、月額33万円である。相続税は負担なし。1億円の負債が残るが、年1200万円の返済で、10年完済できそうである。
C負債が発生した段階で、対策を立てるべきであった。
D保険金で賄える程度の投資を計画すべきである。
E株主が社長1人であると、相続放棄をした場合、株主が無くなり、地裁により代表者の職務代行者選任を受けなければならない。